科学組実験室


たつまきの大きさ
   アメリカでたつまきの研究をしていた藤田博士は、たつまきの大きさを表す規格がないことに気づき、1971年にその大きさを示す「藤田・ピアスンスケール」を作りました。これは風力を藤田スケールで表し、幅と走行距離をピアスンスケールで表すことによって、たつまきの規模を数値で表現しようとしたものでした。

 台風は風力やその大きさ、気圧などで大きさを表現することができます。地震の場合であれば、各地に点在する測候所の地震の波形から、その地震の大きさを推測することができます。しかし、たつまきの場合はそういうわけにはいきませんでした。
 観測装置の整った日本と違い、1970年頃のアメリカでは、風力を自動的に記録する装置も配置されていませんでした。

 藤田博士は、家屋や自然物などが、たつまきの風によって受けた変化が、「風力計」の役目を果たしていると考え、被害状況からたつまきの風力の大きさを推測できる基準を作りました。これが「藤田スケール」で、今でもアメリカや日本を始めとするあちこちの国で、たつまきの大きさを決める基準として使われています。

 アメリカでの風力を表すビューフォート階級は、階級0を風力なし、階級12を風速32.7m/s としています。藤田博士は、このピューフォート階級12を「F1」とし、マッハ1を「F12」と定めました。従って藤田スケールの段階は風速により決められていますが、藤田博士は、各段階の風速と実際の被害状況の関係を調査し、被害状況から藤田スケールでのたつまきの大きさを推測できるようにしました。それが次の表です。

  * 藤田スケールとたつまきの強さ *
  階級 風速 被害状況
  F0 17-32
[m/s]
 煙突やテレビのアンテナが壊れる。小枝が折れ、また根の浅い木が傾くことがある。非住家が壊れるかもしれない。
  F1 33-49
[m/s]
 屋根瓦が飛び、ガラス窓は割れる。また、ビニールハウスの被害甚大。根の弱い木は倒れ、強い木の幹が折れたりする。走っている自動車が横風を受けると、道から吹き落とされる。
  F2 50-69
[m/s]
 住家の屋根がはぎとられ、弱い非住家は倒壊する。大木が倒れたり、またねじ切られる。自動車が道から吹き飛ばされ、また汽車が脱線することがある。
  F3 70-92
[m/s]
 壁が押し倒され住家が倒壊する。非住家はバラバラになって飛散し、鉄骨づくりでもつぶれる。汽車は転覆し、自動車が持ち上げられて飛ばされる。森林の大木でも、大半は折れるか倒れるかし、また引き抜かれることもある。ミステリーが起こり始める。
  F4 93-116
[m/s]
 住家がバラバラになってあたりに飛散し、弱い非住家は跡形なく吹き飛ばされてしまう。鉄骨づくりでもペシャンコ。列車が吹き飛ばされ、自動車は何十メートルも空中飛行する。一トン以上もある物体が降ってきて、危険この上ない。あちこちにミステリーが起こる。
  F5 117-142
[m/s]
 住家は跡形もなく吹き飛ばされるし、立木の皮がはぎとられてしまったりする。自動車、列車などが持ち上げられて飛行し、とんでもないところまで飛ばされる。数トンもある物体がどこからともなく降ってくるし、また被害地はミステリーに満ちている。

 上の表は、強い木造家屋を基準として被害状況が示されています。その他の建物の種類による被害状況は以下の表のようになっています。
ほとんど
影響なし
少々の被害 屋根が飛ぶ 壁が崩れる なぎ倒される 吹き飛ばされる
弱い
納屋
      F0 F1 F2
強い
納屋
    F0 F1 F2 F3
弱い
木造家屋
  F0 F1 F2 F3 F4
強い
木造家屋
F0 F1 F2 F3 F4 F5
レンガ作りの
建物
F1 F2 F3 F4 F5  
コンクリート
建築物
F2 F3 F4 F5    

藤田スケールとたつまきの被害状況

   日本で発生するたつまきは、F0とF1の規模のものだけで過半数を占め、一番大きなものでもF3級のたつまきしかこれまでに確認されていません。一方、アメリカでは、やはりF0とF1の規模のもので過半数を占めるものの、一番大きなものではF4級やF5級のたつまきも発生します。F4級やF5級の発生数は、全体のわずか2-3%ですが、死者数に対する割合では、実に全体の 2/3 を占めています。

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